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第8回 売り買いのタイミングを間違えればどんな優良株投資でも失敗する

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< 2 > ◆◆期間限定連載中◆◆ 公認会計士 足立武志氏による
「決算書分析による銘柄選びの落とし穴」
第8回 売り買いのタイミングを間違えればどんな優良株投資でも失敗する
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 株式投資の基本は、将来の成長が期待できる優良株に投資すること、とよく言われます。また、PER、PBR、配当利回りなどに着目して割安な銘柄を発掘して投資することも有効でしょう。

しかし、それ以上に大事なのは、「売り買いのタイミングを間違わない」ということです。

 たとえ優良株に投資しても、あるいはどんなに割安な銘柄に投資しても、タイミングが間違っていれば大きな損失につながってしまうことがあるのです。

 中でも、最も重要なのが見切り売り・損切りのタイミングです。

 以下は、ミクシィ(2121)のチャートです。ミクシィは、上場前から評判も高く、高成長が期待されていました。
(ミクシィは、会員1000人以上を誇る国内最大のSNS(ソーシャルネットワーキングサービスです。)

 実際、2005年3月期から2008年3月期の業績は以下のとおりとなっており、売上、利益とも急速に増えていることがわかります。

(単位:百万円)

 

売上高

当期純利益

20053月期

739

96

20063月期

1,893

576

20073月期

5,247

1,118

20083月期

10,052

2,011

 でも、だからといって2007年11月、12月に株価が200万円を超えた時点で買って今まで持ち続けていたらどうでしょう。本コラム執筆時(2009年4月6日)時点の株価は391,000円です。80%以上も株価が下落しており、多額の含み損を抱える結果となってしまうのです。

 

2121.1.20090407.135.tn.png

※ミクシィ(2121)の週足チャート(2006年9月の上場時からのもの)

   上記のチャートは 「マーケットチェッカー2」より抜粋(チャートをクリックするとPDFファイルで大きく表示されます。)

 もちろん、「株価が200万円のときに買うのは間違っていた」、というのは今になってから言える結果論にすぎません。もしかしたら、株価が200万円のときに買っても、そこから株価が300万円、400万円と上昇していった可能性だってあったわけです。したがって、200万円で買ったこと自体は「間違っていた」までとは言えません。

 しかし、200万円で買った後、株価が下がってしまったら、できるだけ早い対応をしなければならなかったのです。これを怠れば、みるみるうちに含み損が増えてしまうことにもなりかねません。例えば、買値から10%下落したら損切りをする、といったルールを決め、実行していれば、少しの損失で済んだはずです。

 また、買いのタイミングとしては、下落途中に安易に買いを入れないことも重要です。「安い」と思って買っても、そこからさらに下落するケースも珍しくないからです。

 例えばトヨタ自動車(7203)のチャートをご覧下さい。2007年2月につけた8,350円の高値のあと、2008年12月まで下落基調が続いています。

 この下落途中で、「世界のトヨタの株価が5,000円になった」として、安いと思って喜んでトヨタ株を買った個人投資家も多かったのではないでしょうか。

 確かに高値からは約4割も下落していますから、株価だけをとらえれば、お買い得にもみえます。しかし、トヨタ株はその後も下落を続け、2008年12月には2,585円になりました。

※トヨタ自動車(7203)の週足チャート(2006年はじめから現在までのもの)

 上記のチャートは 「マーケットチェッカー2」より抜粋(チャートをクリックするとPDFファイルで大きく表示されます。)

 2009年4月6日のトヨタ自動車の株価は3,740円まで戻しており、今後株価が5,000円を超える可能性も考えられますから、5,000円でトヨタ株を買ったとしても、そのまま持ち続ければ何も問題ないのではないか、と思う方もいらっしゃるでしょう。でも、それもやはり「結果論」なのです。

 もしかしたら、トヨタ株が2,585円では下げ止まらず、さらに下落を続けた可能性だってあったわけです。そうなれば、5,000円で買ったトヨタ株が買値を回復するまでには長い時間がかかってしまうことも大いに考えられます。

 そうではなく、株価が下げ止まったのを確認し、例えば2,585円の安値から10%上昇した2,850円で買えば、今の3,740円という株価水準でも、すでに30%以上の含み益を得ていることになるのです。

 株価が下落している途中で「かなり安くなった」と思って買うよりも、株価の下げ止まりを確認してから買う方が、成功する確率が高まります。これは、どんな優良株であっても同じです。

 なお、見切り売り・損切りという観点からは、日経平均株価やTOPIXといった日本株全体の動きを表す指数が、それまで守ってきた安値の水準を下回ったときも注意が必要です。

 例えば日経平均株価は、2008年3月につけた安値11,691円00銭をしばらく守っていましたが、2008年9月に割り込みました。もし、割り込んだ時点で、保有している株式の全部とはいかなくとも半分でも売却しておけば、その後6,994円90銭にまで日経平均株価が下がったときも、ダメージを減らすことができたはずです。

 

※ 日経平均株価の週足チャート(2007年はじめから現在までのもの)を挿入
  上記のチャートは 「マーケットチェッカー2」より抜粋(チャートをクリックするとPDFファイルで大きく表示されます。)

 最も怖いのは、成長性の高い優良株として高い評価を得ていた銘柄が、成長の鈍化や業績の悪化などにより「優良株」でなくなってしまうことです。そうなれば、株価は投資家からの高成長の期待が剥がれ落ちてしまう分、大きく下落しかねません。

 上記のミクシィも、2009年3月期以降の成長が鈍化することが明らかになった途
端、投資家からの失望売りを浴び、2007年12月からわずか1年3ヶ月で株価が86
%も下落しました。

 かといって、株価が買値の5分の1、10分の1まで下がった後で投げ売ってしまうのも考え物です。そこまで持ち続けたのなら、株価の回復を待った方が良いかもしれません。無理に売れば、底値で売ってしまった、ということにもなりかねないからです。もし損切りをするのであれば、もっと早い段階でする必要があります。

 いくら優良株といっても、株価は上げ下げを繰り返すものです。将来の企業業績の見極めや、割安な銘柄の発掘も大事ですが、それ以上に株価の動きに目を配るようにしましょう。そして、特に「下落途中では買わない」、「買った銘柄の株価が下がったら傷が浅いうちに損切りをする」、といった点に十分注意するようにしてください。

★今回のポイント

■上昇途中に買っても良いが、その後株価が下落した場合は損切りを実行して損失を最小限に抑えるべき

■例えどんな優良株であっても、株価が下落している最中には買わないほうがよい

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足立 武志(あだち たけし)
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。
足立公認会計士事務所代表、株式会社マーケットチェッカー 取締役。1975年神奈川県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士。会計・税務業務にとどまることなく、執筆、セミナーなどを通じて、個人投資家 の資産運用に真に有益かつ必要な情報提供を行っている。著書に『すぐできる!らくらくネット株入門』(高橋書店)、『はじめての人の決算書入門塾』(かんき出版)がある。パンローリング社トレーダーズショップでBlogを執筆中。
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