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第6回 「配当利回りが高い」=「割安」ではなく「危険」な理由とは?

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< 2 > ◆◆期間限定連載中◆◆ 公認会計士 足立武志氏による
「決算書分析による銘柄選びの落とし穴」
第6回  「配当利回りが高い」=「割安」ではなく「危険」な理由とは?
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 株式投資の楽しみの1つに、「配当金」があります。配当金目当てに株式投資をしている個人投資家も多いようです。

 株価と配当金の関係から、株価が割安かどうか図るための指標として「配当利回り」というものが広く使われています。

 「配当利回り」は、「1株あたりの(予想)配当金÷株価」によって求められます。例えば、1株当たりの予想配当金が20円、株価が1,000円の会社であれば、配当利回りは20円÷1,000円=2%となります。

 そして、この配当利回りが高いほど、投資する資金に対して得られる配当金の割合が高くなりますから、配当利回りが高い銘柄の株価は割安である、という判断がなされるのが一般的です。

 しかし、この配当利回り、本当に高ければ割安なのでしょうか?実は、配当利回りが高ければ高いほど、「割安」ではなくむしろ「危険」である可能性が増してくるのです。

 1つ例を挙げてみましょう。マンション分譲を手がけるサンシティ(8910)という会社です。

新聞、雑誌などの配当利回りランキングにて、サンシティが上位にランクインしているのを昨年春~夏ごろはよく見かけたものです。
 2008年2月14日に会社が発表した、2008年12月期の1株当たりの予想配当金は1,300円でした。

【チャート1】
*週足チャート資料【1】上記のチャートは 「マーケットチェッカー2」より抜粋。チャートをクリックすると拡大画面でご覧いただけます。

 例えば2008年6月12日の寄り付きでサンシティ株を買ったとすると、株価は15,000円、予想配当金は1,300円ですから、配当利回りは1,300円÷15,000円=8.7%という高いものとなります。
 しかし、サンシティの株価は下落を続け、2008年6月下旬には、2008年3月につけた直近の安値である12,880円をもあっさり割り込んでしまいました。

【チャート2】
   *週足チャート資料【2】上記のチャートは 「マーケットチェッカー2」より抜粋。チャートをクリックすると拡大画面でご覧いただけます。

株価は下がり続ける一方で、予想配当金は1,300円のまま変わりませんでしたので、配当利回りはさらに上昇していきました。2008年8月5日には株価は6,400円まで下落し、配当利回りは20.3%まで上昇しました。

【チャート3】

*週足チャート資料【3】上記のチャートは 「マーケットチェッカー2」より
  抜粋。チャートをクリックすると拡大画面でご覧いただけます。
 
 そして、2008年8月5日の引け後、会社は2008年12月期の業績を大幅に下方修正するとともに、2008年12月期の1株当たりの予想配当金をゼロにすると発表したのです。

(サンシティHP 「2008年8月5日 期末配当予想の修正に関するお知らせ」

 翌日から株価は何日もの間連続してストップ安となり、その後も下落を続けました。現在(2009年3月6日)では1,920円まで株価は値下がりしています。

 【チャート4】

*日足チャート資料【4】上記のチャートは 「マーケットチェッカー2」より抜粋。チャートをクリックすると拡大画面でご覧いただけます。

 高い「配当利回り」に惹かれてサンシティ株に投資した投資家は、多大な損失を被ってしまったのです。

 では、このサンシティの例を踏まえ、私たち個人投資家はどのような点に注意すべきなのでしょうか。

 まず、2008年6月12日の時点で配当利回りが8.7%もあることを疑問に思わなければなりません。安定的に配当金を受け取れる電力株であれば、配当利回りが8.7%になるまで株価が売られることはまずありえません。したがって、配当利回りが高すぎる会社の株価は、配当が減らされたり、ゼロになるリスクが相当に高いと判断する必要があります。

 また、株価が大きく下落を続けている点も警戒すべきです。2008年3月につけた安値を、2008年6月下旬に割り込み、その後も株価が下落していることからも、かなりの業績悪化と、それに伴う無配転落リスクを織り込んでいたものと考えられます。

 企業が業績予測の修正や予想配当金の修正を正式に発表するよりもかなり前から、株価はそうした情報を織り込んで動きます。したがって、株価と予想配当金との間にはどうしても「時間的なギャップ」が生まれてしまいます。

株価はすでに配当金が減らされたり、無配になるリスクを見越して下落しているのに、配当利回りの計算には、業績悪化が表面化する前に企業が発表した予想配当金という「古い情報」が使われてしまうのです。

 結局、表面的な「配当利回り」だけで銘柄を選択してしまうと、期待していた配当金をもらえなくなるだけでなく、株価も大きく下落してしまい、多大な損失を抱えてしまうことになりかねません。

 配当利回りが異様に高い会社の株は、とてもお買い得なのでは決してなく、単に予想配当金が実態と乖離してしまっているために、表面上配当利回りが高くなっているだけ、というケースが非常に多いのです。

★ 今回のポイント 
 配当利回りを銘柄選びに活用する場合は次のことに気をつけましょう。

■配当利回りが高いほど高リスクの可能性大
 安定してそこそこの配当がもらえる銘柄として電力株は有名です。電力株の配当利回りを参考にして、それより配当利回りがかなり高い(例えば電力株の配当利回りが2%のとき、5%以上の配当利回りである)銘柄は、将来配当金が減らされたり、ゼロになったり、最悪の場合には経営破たんしてしまうといったように、何らかのリスクがあるために高い配当利回りとなっている可能性が高いです。そのリスクは、配当利回りが高くなればなるほど大きいと考えておきましょう。

■配当利回りだけでなく、株価水準や株価の動き(大きく下落していないか)もチェック
 例えば株価が50円、1株当たり配当金が5円の銘柄の配当利回りは10%です。そもそも10%という配当利回りは高すぎるうえに、株価自体が50円という低い水準であるのが非常に気にかかります。株価が低いということは、それだけ経営破たんのリスクが高い表れだからです。

 また、株価が大きく下落していないかもチェックしましょう。株価が大きく下落をしているということは、業績悪化のサインである可能性が高いものです。業績が悪化すれば配当金も当初予想より減らされることが非常に多いですから、株価が大きく下がった結果として配当利回りが上昇しているケースは要注意です。

■過去の配当の実績もチェック
いくら配当利回りが高くとも、業績の変動などによって配当金が毎年大きく変動するような会社は、現時点の配当利回りが将来期待できない可能性が高いといえます。特に、景気に業績が大きく左右されるような会社は注意が必要です。

安定して今の水準の配当金を将来も受け取りたいのであれば、できれば過去10年程度の配当金の実績をチェックして、配当金の変動が少ない会社を選ぶことをお勧めします。

 予想配当金に変動がなければ、株価の下落により配当利回りは上昇します。したがって、今のように、株式市場全体が大きく値下がりしているようなときは、配当利回りという観点からすれば買いのチャンスになります。実際、筆者の目からみても、魅力的な配当利回りの銘柄がいくつもあります。

 しかし、高配当利回りランキング上位の銘柄にやみくもに投資するのではリスクが高すぎます。上に挙げたような点に注意しながら、慎重に銘柄を選択するようにしましょう。

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足立 武志(あだち たけし)
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。
足立公認会計士事務所代表、株式会社マーケットチェッカー 取締役。1975年神奈川県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士。会計・税務業務にとどまることなく、執筆、セミナーなどを通じて、個人投資家 の資産運用に真に有益かつ必要な情報提供を行っている。著書に『すぐできる!らくらくネット株入門』(高橋書店)、『はじめての人の決算書入門塾』(かんき出版)がある。パンローリング社トレーダーズショップでBlogを執筆中。
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