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【Q&A】 同業他社を比較するときのポイントは?

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【Q&A編】同業他社を比較するときのポイントは?
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■質問■
製造業の業種への投資を考えています。同業他社を比較したほうがいいのかな?と思いますが、何社ぐらい比較するといいですか?
また、業種によっては、ここは要チェックのような項目が違うのでしょうか?

■回答■

○同業他社比較は有用

投資先の銘柄を選ぶ際、同業他社どうしを比較することは有用です。その際、比較するのは業界ナンバー 1 からナンバー 3 を含めた 5 社程度を比較するとより効果的でしょう。

具体的には、貸借対照表を用いて財政状態を比較したり、損益計算書から業績を比較します。このとき、最も注意して見ておきたいのは、単純に金額の大小のみで比較することはできない、ということです。金額の大小のみで比較してしまえば、一般的には業界トップの会社が、売上も利益も最も多額となり、同業他社どうしを比較している意味がありません。

そこで、どうしたらいいのかというと、金額ではなく各指標の「率」を使って比較することになります。例えば、決算短信の1ページ目(サマリー情報)に掲載されているもののうち、業績に関連する指標として、以下のようなものがあります。


・自己資本当期純利益率
・総資産経常利益率
・売上高営業利益率


 また、財政状態に関連する指標としては、自己資本比率などがあります。その上で、各社の株価が割高か、もしくは割安かを比較するために、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)を求めることも重要です。いくら各指標が他社と比べて優秀であっても、PERが高い場合は新規投資を見送る、という判断も時には必要です。

さらに、キャッシュ・フロー計算書を用いて、フリー・キャッシュ・フロー(=営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー)の比較もしてみましょう。

同業他社どうしの比較は1期間だけでなく、3期間(例えば平成20年3月期、平成19年3月期、平成18年3月期)程度の決算書を用いるのがより効果的です。そうすれば、1期間の比較だけでは見えてこない変化、例えば毎年売上や利益が増加傾向にある会社か、逆に減少傾向にある会社か、ということまで見えてきます。常識的に考えて、売上や利益が減少傾向にある会社より、増加傾向にある
会社のほうが投資対象として魅力的であることは言うまでもありません。ただし、いくら将来の高成長が期待できるとしても、株価がすでに割高な水準であれば新規投資は避けたほうが賢明です。PERやチャート分析などで、「買われすぎ」でないかを判断することも忘れないようにしましょう。

○他社との比較を行う際に注意すべき点

全く異なる業種の会社、例えば自動車メーカーと不動産会社、あるいはIT企業と建設会社とを比較することは、有用どころか、逆に誤った判断をしてしまうこともありえます。多くの借入金を必要とする業種と、借入がほとんど必要ない業種とで財政状態を比較すれば、当然、後者の財政状態のほうが良好という結果になってしまいます。また、利益率の高い業種と低い業種とで比較すれば、利益率の高い業種のほうが優良、という判断になります。しかし、それでは業種ごとの特性を無視していることになり、正しい比較にはならないのです。したがって、他社との比較を行う際には、同業種の会社同士での比較をすることを第一にするようにしましょう。

○比較として有効な項目、「研究開発費」や「受注残」

どの業種でも、上で挙げた事項を比較すれば十分だと思いますが、業種によっては、追加的に比較しておくと有用になるものもあります。

例えば、製造業の場合は「研究開発費」の比較が有効です。研究開発費は、いわば将来に利益を獲得するための先行投資ですから、この金額が大きい、あるいは売上に占める研究開発費の割合が高い会社ほど、将来の利益獲得が期待できると考えてよいでしょう。特に、画期的な新薬が生まれれば莫大な利益を得ることができる製薬会社にとっては、研究開発費は非常に重要な位置づけになっています。

もし、複数の会社の売上、利益等を比較分析した結果、2 ~ 3 社の候補が残ってしまった、という場合は、研究開発費の多寡で最終判断を下す、というのも 1 つの方法です。

もう 1 つ、建設業や造船業など、注文を受けてモノを造る業種においては、決算書に直接記載された数値ではありませんが、「受注残」をチェックしておくことが有効になります。受注残の分だけ、将来の売上が計上されるのですから、受注残が多ければ多いほど、今後の業績は好調に推移することが期待できる、ということです。ある会社の今期の業績は良くなかったのに株価は上昇している、と不思議に思ったら、多額の受注残が存在していた・・・ということもよくあります。

受注残については、決算短信に掲載されている会社(例 1 )や、毎月の受注動向を公表している会社(例 2 )もあります。各会社のホームページなどで探してみてください。

株価は、過去よりも将来の会社の業績を気にして動くものです。決算書はいわば過去の情報であり、決算書だけを用いて投資する銘柄を選ぶことには残念ながら限界があります。将来の業績を示唆するようなデータも、銘柄選びの際はあわせて活用するようにしてください。

○これ以上深く比較分析するならば、「財務分析」へ

実は、同業他社どうしの比較に使われる分析指標は、ここで挙げたもの以外にも数多く存在します。例えば流動比率、棚卸資産回転率など・・・当然、多くの分析指標を用いて比較した方が望ましいのはいうまでもありませんが、株式投資ではここに挙げたもの程度で十分だと個人的には感じます。これ以上深く比較分析しようとすれば、「財務分析」というジャンルに立ち入ることになります。

確かに、財務分析により、さらに正確で深度ある比較分析を行えば、色々なことが見えてきて面白いのは事実です。ご興味のある方は、財務分析の書籍などで研究してみてください。手前味噌で恐縮ですが、拙著「はじめての人の決算書入門塾」(かんき出版)にも、財務分析の基礎的な事項について触れていますので、よろしければご覧ください。

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足立 武志(あだち たけし)
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。
足立公認会計士事務所代表、株式会社マーケットチェッカー 取締役。1975年神奈川県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士。会計・税務業務にとどまることなく、執筆、セミナーなどを通じて、個人投資家 の資産運用に真に有益かつ必要な情報提供を行っている。著書に『すぐできる!らくらくネット株入門』(高橋書店)、『はじめての人の決算書入門塾』(かんき出版)がある。パンローリング社トレーダーズショップでBlogを執筆中。





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