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第 9 回 損益計算書の特別損益には要注意

 

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第9回 損益計算書の特別損益には要注意
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○臨時・特殊な要因で発生する特別な損失

前回、損益計算書の中で最も着目すべきなのは経常利益であることをお話しました。そして、本当は当期純利益に着目すべきであるが、特別利益と特別損益という存在がある以上、企業の本当の実力を正確に測ることができないため、経常利益に着目することとなる、ということもご説明しました。

では、なぜ損益計算書の特別利益と特別損益という存在が、企業の本当の実力を測ることを阻害しているのでしょうか。

それは、特別利益や特別損益が、通常の企業活動からは発生しない、臨時・特殊な要因で発生するものだからです。

損益計算書サンプルはこちらからご覧いただけます。(別ウィンドウで開きます。)

しかし、個人投資家の方の中には、このことに気づかずに、当期純利益をそのまま使って銘柄選びの参考にしている方も多いようです。

以前、退職給付会計が導入されたとき、多くの企業は、会計基準の変更に伴う損失を特別損失に計上しました。その結果、当期純利益が大幅に減少したり、中には赤字に転落した企業も数多くありました。しかし、こうした企業でも、経常利益は十分な水準を確保していたところが多かったのです。

このような、「経常利益=十分な水準」かつ「当期純利益=大きく目減りもしくは赤字転落」という状況のなか、多くの個人投資家は、「当期純利益が減ったり、赤字になっているのだから、業績が悪化した。だからそんな企業の株を買うのは控えよう」と思ったのです。

ところが、現実は、単に会計基準が変わったために損失を計上して赤字とならざるを得なかっただけであり、本業は相変わらず好調、という企業も結構ありました。

まさに、特別損失の存在が、個人投資家の判断を誤らせることになった事例です。

○「見せ掛けの利益」に要注意

これ以外によくあるのが、業績が落ち込み、このままでは大幅な赤字に陥ってしまうというときに、所有していた土地を売却し、その売却益により当期純利益を確保した、というケースです。

土地の売却益が巨額だと、非常に大きな額の当期純利益になり、PERが3倍や4倍となることもよくあります。

一般的に、PERが20倍以下だと株価が割安といわれますから、これが3倍、4倍となれば「超割安」ということになります。

ところが、この当期純利益は、土地の売却によってもたらされた「見せ掛け」の利益だということに気づけば、PERが3倍、4倍であっても株価が割安とは決していえないことがお分かりいただけるはずです。

こんなときも、注目すべきは経常利益です。いくら当期純利益が巨額であっても、経常利益が大幅な赤字であれば、本業は絶不調なのですから、おいそれとこの企業の株に投資するわけにも行きません。

もちろん、将来の業績見通しなども加味した上で、この企業の株に投資することに決めた、というのでしたら問題ありません。気をつけなければならないのは、「見せ掛けの利益」「見せ掛けの低いPER」に引っかからないようにする、ということです。

そのためには、前回も紹介した、「あるべき当期純利益」を使用するとよいでしょう。「あるべき当期純利益」は、「経常利益×60%」により求めます。これを使ってPERを再計算してみてください。

安い買い物をしたと思っていたら、実はとんでもなく高くついた・・・そんなことのないようにしたいものですね。

<まとめ>
○特別利益や特別損失には、企業の実力とは無関係のものが多く混ざっている
○PERなどの指標を使用する際は、「あるべき当期純利益」を活用するなど、特別利益や特別損失による影響を排除すべき

足立 武志(あだち たけし)
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。
足立公認会計士事務所代表、株式会社マーケットチェッカー 取締役。1975年神奈川県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士。会計・税務業務にとどまることなく、執筆、セミナーなどを通じて、個人投資家 の資産運用に真に有益かつ必要な情報提供を行っている。著書に『すぐできる!らくらくネット株入門』(高橋書店)、『はじめての人の決算書入門塾』(かんき出版)がある。パンローリング社トレーダーズショップでBlogを執筆中。
  





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