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< 4 > ◆◆期間限定連載中◆◆「 投資力 株式投資と決算書 」
実践編~決算書を使って分析してみよう~
第 3 回 倒産の危険性を見極める!~解説編(1)
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前回は、A社(真柄建設株式会社)とB社(株式会社レイコフ)の決算書をご覧
いただき、倒産の危険性を皆さんに考えていただきました。
前回のコラムはこちらよりご覧いただけます。
ヒントは下記の内容です。実際の決算書でみていただけたでしょうか?
実際の決算書で確認する場合は、こちらのファイルをダウンロードしてみましょう。(下記のページ数はこの決算書のページ数を表します。)
決算書の該当箇所をまとめて確認したい方は
こちらから。(後半の解説とともにご覧ください。)
【1】決算短信サマリー情報
・平成19年3月期、平成20年3月期の利益の状況はどうですか?(※p.1)【A-1】
【2】貸借対照表
・現金預金(※p.8)【A-2-1-1】と有利子負債(借入金+社債)(※p.10)
【A-2-1-2】の金額を比べてみてください。【A-2-1-2】
・繰越利益剰余金(※p.11)は大幅なマイナスになっていませんか?【A-2-2】
・資産合計(※p.9)【A-2-3-1】と純資産合計(※p.11)【A-2-3-2】を比べてみてください。
【3】キャッシュ・フロー計算書
・営業キャッシュ・フローはマイナスになっていませんか?(※p.16)【A-3-1】
・投資キャッシュ・フロー(※p.17)【A-3-2-1】、財務キャッシュ・フロー
(※p.17)【A-3-2-2】のプラスまたはマイナスの要因を確かめてみましょう。
・キャッシュの残高は減っていませんか?(※p.17)【A-3-3】
【4】決算短信のサマリー情報
・自己資本比率はどうなっていますか?(※p.1)【A-4-1】
・1株当たり純資産はどうなっていますか?(※p.1)【A-4-2】
【5】その他
・継続企業の前提に関する注記が付されていませんか?(※p.18)
皆さんは、A社とB社の倒産の危険性についてどう判断されましたか?実は、A社もB社も、今年(2008年)に事実上倒産した会社なのです。
今回はA社の解説です。B社の解説は次回(第4回)でおこないます。
A社の決算書のうち決算短信をみると、平成19年3月期、平成20年3月期とも、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてが赤字です。【A-1】これは危険なサインです。
次に、貸借対照表を見てみましょう。
平成20年3月期の現金預金の残高は1,901,370千円です。【A-2-1-1】
一方、有利子負債は短期借入金5,810,666千円+長期借入金1,501,866千円=7,312,532千円です。【A-2-1-2】
建設業は有利子負債の額が大きくなりがちですが、平成20年3月期のA社は有利子負債の額が特段多いとはいえず、現金預金が有利子負債に比べて少なすぎる、ということもありません。
ただ、過去の利益の蓄積である繰越利益剰余金がマイナス4,410,995千円【A-2-2】

と、大幅なマイナスであることや、資産合計50,270,165千円【A-2-3-1】

にくらべて純資産が261,351千円【A-2-3-2】しかないことは、財務基盤という面からは非常に危険です。

キャッシュ・フロー計算書をみてみましょう。営業キャッシュ・フローは平成19年3月期は大幅なマイナスです。【A-3-1】

平成20年3月期はプラスであるものの、要注意といったところでしょう。財務キャッシュ・フローをみると、借入金の返済などにより、3,438,480千円もの大幅なマイナスになっています。投資キャッシュ・フローは2,555,937千円【A-3-2-1】と大幅なプラスで、その内訳から、投資有価証券を売却して借入金の返済に充てたとみることができます。
キャッシュ・フロー計算書【A-3-3】からは、手持ちの有価証券を売ってまで借入金の返済をしなければならない、という厳しい状況にあることが推測されます。
【A-3-2-1,A-3-2-2,A-3-3】はこちらのPDFファイルをご覧ください。
また、決算短信のサマリー情報をみると、自己資本比率【A-4-1】が平成20年3月期はわずか0.5%しかないことが分かります。債務超過すれすれの、非常に厳しい財政状態であるといえます。
さらに、1株当たり純資産【A-4-2】はマイナスになっています。今回使った決算書だけでは分からない情報ですが、A社は優先株を発行しています。これを加味すると、実質的にはすでに債務超過の状態だったのです。

これ以外の情報として、まずは「継続企業の前提に関する注記」が付されていることが挙げられます。※決算書全体ファイルのp.18、p.19ページをご覧ください。【A-5】
この注記は、継続企業の前提に重要な疑義が存在する場合に付されます。平たく言えば、倒産等によって継続企業でなくなる可能性が高いことを投資家に知らせるためのものです。
そして、株価の推移をみると、今年に入ってからは、株価が100円割れの状態が続いていました。一般に、株価が低いほど、倒産の可能性が高いことを示しています。特に、株価が2ケタの会社は注意が必要でしょう。(株価の推移はヤフーファイナンスなどでご確認ください。)
以上を総合して判断すると、A社の決算書や、その他の情報から、A社が倒産する危険性は高いことを読み取ることができたはずです。
A社は民事再生法の適用申請を行ったことで、事実上倒産しましたが、A社発表資料によりますと、請負主の倒産等により請負代金が回収不能となり、7月7日および10日に期日が来る70億円の決済のめどが立たなかったことが理由のようです。
貸借対照表でいえば、完成工事未収入金(≒売掛金)を回収し、そのお金で支払手形や工事未払金を決済するつもりが、完成工事未収入金の回収が滞り、決済資金の不足分を銀行から借りることも、業績不振のためできなかった、という状況が想像できます。
キャッシュがもっとたくさんあれば資金不足にならなかったかも知れません、業績がよければ銀行から不足資金を借りることができたかも知れません。
財務基盤が弱い(=キャッシュが少なく、株主資本も少ない)A社は、取引先の倒産という突発的な出来事に対応するだけの体力がなかったのです。
実際に倒産した会社の決算書をみることで、倒産直前に決算書に表れる変化や予兆を知ることができます。それにより、倒産の危険性が高い会社をあらかじめ投資対象から外しておくことができるのです。
次回は、もう1社であるB社の倒産の危険性について分析してみたいと思います。
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足立 武志(あだち たけし)
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。
足立公認会計士事務所代表、株式会社マーケットチェッカー取締役。
1975年神奈川県生まれ。
一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士。会計・税務業務にとどまることなく、執筆、セミナーなどを通じて、個人投資家 の資産運用に真に有益かつ必要な情報提供を行っている。また、マーケットチェッカー取締役として株式投資スクリーニングソフトマーケットチェッカーの企画開発に関わる。
著書に『すぐできる!らくらくネット株入門』 (高橋書店)
『はじめての人の決算書入門塾』(かんき出版)がある。
パンローリング社トレーダーズショップでBlogを執筆中。
株式会社マーケットチェッカー足立武志への連絡先
メールアドレス education@kbu.jp
ホームページ http://corp.kbu.jp/