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第 12 回 決算書を活用するための3つのポイント

 

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< 4 > ◆◆期間限定連載中◆◆「 投資力 株式投資と決算書 」
~公認会計士 足立武志の決算書攻略10か条~
第12回 決算書を活用するための3つのポイント
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「投資力~株式投資と決算書」も、今回で最終回です。今回は、総まとめとして、決算書を株式投資に活用するための3つのポイントをお届けしたいと思います。

【ポイント1】倒産の危険性を見極める


どんなに株価が割安に思えても、どんなに将来の成長性が期待できるように思えても、投資した企業が倒産してしまえば意味がありません。

まずは、投資しようとしている企業の倒産の危険性を見極めましょう。そのためには、貸借対照表、損益計算書、そしてキャッシュ・フロー計算書を総動員して分析することが有効な手段となります。
*参照:第 11 回 倒産の予兆? 決算書のここを見る! 
○企業が倒産する理由

【ポイント2】実態と比べて株価が割安な企業を探す(PER、PBRの活用)


株式投資をするからには、最終目的が何かというと、利益を得ることです。そのためには「買った値段より高く売る」ことが必要です。実態と比べて株価が割高な企業は投資対象から除外し、割安な企業を探しだしましょう。株価と損益計算書の当期純利益を用いればPER(株価収益率)が算定できますし、株価と貸借対照表の純資産の額が分かればPBR(株価純資産倍率)を求めることができます。一般的には、PERもPBRも、低ければ低いほど株価が割安といえます。

*参照:第 3 回 貸借対照表はココを見る!
【1】全体像~株式投資への活用法 ○1株当たりの企業価値
 
第8回 損益計算書の重要ポイントは経常利益 
○「経常利益」に注目

【ポイント3】将来の成長が期待できる企業を探す(損益計算書の前期比較)


株式投資には大きく分けて2種類あり、1つが(2)のような割安株を見つけて投資する「バリュー株投資」です。もう1つが、成長性の高い企業に投資する「グロース株投資」です。将来の成長が期待できるような「グロース株」を見つけるには、損益計算書を時系列に並べて、例えば前期と当期で売上や利益がどの程度伸びているか、さらには将来の業績予測はどうか、という点に着目することが重要になります。
*参照:第 2 回 決算短信-たった1ページで企業の業績が分かる 
○1ページ目は「サマリー情報」 

     第 8 回 損益計算書の重要ポイントは経常利益 
○「経常利益」に注目

今回まで12回にわたり、決算書を株式投資に生かすポイントをご説明してきました。では、決算書を読みこなして、「株価が割安な企業」や「高成長が期待できる企業」を見つけることさえできれば、株式投資は万事うまくいくのでしょうか。残念ながら、必ずしもそうとは限らないのです。ここが、株式投資の難しいところであり、面白いところでもあります。

もちろん、「株価が割安な企業」や「高成長が期待できる企業」を見つけることは重要です。ところが、株価が割安であれば、あるいは高成長が期待できれば株価は上昇するか、といえば、そうならないこともよくあるのです。

多くの個人投資家が直面する壁が、「割安な株に投資しているのに株価が全然上がらない」、あるいは「高成長が期待できるはずなのに、株価が下がり続ける」という現実です。この理由としては次のようなことが考えられます。

・確かに株価は割安だが、相場環境が悪く、買い手がいないため、株価が上昇しない

例えば、
○日本経済が低迷しているため、割安な株と分かっていても、投資家が日本株に投資すること自体を敬遠している時期
○海外市場で株式が大きく値下がりし、外国人投資家が損失補てんの為、日本株を投売りするようなとき

・一見割安に見えるが、実際は決算書に表れていない悪材料により割安ではないため株価が上昇しなかったり、下落する

例えば、

○決算数値が予想より悪くなることが公式には発表されていないものの、不動産市況の悪化が明らかであるため決算の下方修正を見込んで不動産株が大きく売られるケース。株価は下落するが、決算の予測値自体はまだ下方修正されていないため、決算予測値のみをみて判断すると株価が割安に見えてしまう。

・高成長が期待できるように見えるが、実際成長は鈍化しつつあるため株価が上昇しない、または、確かに高成長が期待できるが、すでにそれに見合う水準まで株価が上昇していたため、これ以上は株価が上昇しない

例えば、
○業績予想では売上、利益ともに高成長を見込んでいるものの、市況の急速な悪化により、成長が鈍化することを多くの投資家が感じているようなケース。

○ITバブル時や、2006年初めまでの新興市場株式の急騰時のように、高成長の過剰な期待により、実態以上に株価が上昇してしまっているケース。

しかし、これらのうちどの理由が当てはまるかを知ることは現実問題として非常に難しく、理由がはっきり分かったころには、すでに株価が大きく値下がりしているのが実情です。昨年夏から現在にかけての不動産関連株の株価の動きは良い例でしょう。

PBRやPER、もしくは売上や利益の伸びといったものを基準として銘柄選びをすること自体は間違っていません。しかし、結果としてその判断が誤りだった可能性もあるのです。

ですから、「割安」、あるいは「成長性が高い」と思って投資した企業の株価が一定水準以上下がったなら、一旦損切りをして様子をみるのが正解です。株価が下がっている理由が分からないのですから、「割安」とか「成長性が高い」という、100%確実とはいえない根拠だけを頼りに保有し続けて、損失が拡大することだけは避けなければなりません。

PERやPBRを銘柄選びの基準とした株式投資には、様々な注意点や落とし穴があります。単純にPERやPBRが低いものに投資すればよい、というものではありません。

このことについては、機会がございましたら詳しく取り上げたいと思います。

また、今回は「投資力 株式投資と決算書」と題したコラムのためテクニカルアプローチ(チャート分析)には触れませんでした。しかしながら、私自身株式投資を行う上でテクニカルアプローチも大変重要だと考えていますし、大いに利用しています。決算書もチャートも両方とも株式投資で利益を上げ、損をしないためには大切です。投資家によって重視する事柄は違うでしょうが、どちらか一方だけ理解していれば済む、ということでもありません。

いかに高成長が期待できても、株価が大きく上昇したときに買うのは高値掴みになります。とはいえ、いかに割安と思っても、株価が下落基調である途中で買うと、その後さらに大きく下落して大きな痛手を負うことも往々にしてあります。テクニカルアプローチを理解すれば、こうした失敗を防ぐこともできる場合があります。

機会があればテクニカルアプローチについても書きたいと思っています。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。近日中に、今回の連載の「実践編」としまして、実際の決算書を例にあげながら、より実践的に決算書を株式投資に有効活用するために見るべきポイントをご紹介していきたいと思います。お楽しみに!

<まとめ>
◆決算書から「倒産の危険性」「株価が割安な会社」「成長が期待できる会社」を見つける
◆株価が割安だったり、高成長が期待できるのに株価が下落を続けるような場合、隠れた悪材料がある可能性があるので一旦売却して様子をみるべき

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足立 武志(あだち たけし)
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。
足立公認会計士事務所代表、株式会社マーケットチェッカー 取締役。1975年神奈川県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士。会計・税務業務にとどまることなく、執筆、セミナーなどを通じて、個人投資家 の資産運用に真に有益かつ必要な情報提供を行っている。著書に『すぐできる!らくらくネット株入門』(高橋書店)、『はじめての人の決算書入門塾』(かんき出版)がある。パンローリング社トレーダーズショップでBlogを執筆中。
 





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