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春山昇華(著) 『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』

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8冊目 サブプライム一過?
春山昇華(著) 『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』

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< 2 > エムユーの本棚 8冊目  
「サブプライム一過?」
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今やすっかり一般的なコトバになった感のある「サブプライム問題」。テレビニュースなどで耳にするようになったのは1年ほど前でしょうか。そのころは、海の向こうで起きている問題であり、アメリカの金融当局がしっかりとコントロールするだろうから影響は限定的ではないか、という論調が強かったものですが、2007年後半からは、これでもかこれでもかと世界各国の金融機関の窮状が報道され、未だサブプライム一過とは言えない状態が続いています。

サブプライムローンとは低所得者向けの住宅ローンで、最初の2-3年は低めに抑えられている金利が高くなると返済が滞り、多くの家が差し押さえられ競売にかけられている、という報道を良く見ます。また、サブプライムローンは「高度な金融技術によって」証券化されたため、欧米の主要金融機関22社の関連損失が2320億ドルに及んでいるとも。(2008年4月18日 各社報道)

といった報道内容に対しては「なるほどね」などと頷いてみるものの、「これだけ損失が出ているということは、誰かは儲けているのだろうか」「そもそもサブプライムローンの残高はどのくらいなのか」「そもそも、そもそも、なぜそのような無茶なローンが横行していたのか」など、次から次へと疑問が沸いてきます。そういう方も多いのではないでしょうか?

そこで、今週「一気読み」してしまったのが、20年来アメリカのマーケットに携わり、2005年からご自身のブログでもアメリカの住宅事情を観察し続けている方による、とってもリアルなサブプライム本・・・・

『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』 です。

春山昇華(著)、宝島社、735円(税込)
【ジャンル】 金融・経済の仕組み
【難易度】 ★★☆☆☆   (★が多いほど難しい) 
【文字量】 ★★☆☆☆   (★が多いほど多い) 
【所要時間】 ★★☆☆☆  (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★★☆ (★が多いほどおすすめ)
 

著者の春山昇華氏は、ご自身のブログ「おかねのこねた」で出版裏話を披露されているのですが、
なんとこの本、2007年9月25日の夜に書き出して、10月15日には初稿(印刷の直前段階)が上がっていたといいます。恐るべきスピード。恐るべき集中力。プロの作家でもない(ように思われます)のにこれだけの文章を書きあげられるのはきっと、「さあ、本を書こう」と内容を一から考えるのではなく、既に書くべき内容が心にあったのではないでしょうか。読んでいると、そのような勢いが伝わってきます。

春山氏が長年観察してきたからこそ集められた、ここ数年のアメリカの住宅事情を窺い知ることができる広告や記事、そしてデータを交えながら、サブプライム問題がいかにして発生し、どのような状況の推移を見せているのかを解説しています。アメリカの住宅バブルの基礎となった社会的背景や時代背景をうけて、サブプライムローンが質的に変化して略奪的貸付となり、問題視されながらも狂乱状態が止まらなくなっていく変遷は、さながら恐ろしいフィクション小説のようです。(ノンフィクションなので更に恐ろしいです。)

完成前のマンションを購入しながら完成前に売り抜けるという手法の存在や、住宅ローンの斡旋だけで数千万円を稼ぐ人もいたという住宅ローンブローカーの存在、企業の格付けではなかなかとれない「トリプルA」の乱発など、驚愕の事実が沢山書かれています。証券化の仕組みが持つ危険性や、自己資本規制がもたらす影響など、仕組みや制度についても考えさせられます。そして冒頭でも触れたような「アメリカの金融当局がしっかりとコントロールするだろう」といった都合の良い期待に頼ることの怖さも。

至極当然のことなのですが、個人であっても企業であっても、投資先や投資対象となる金融商品について自分で調べて、理解しようとする姿勢を怠ってはいけないのだ、と改めて感じました。遠い世界の出来事だと思っていたサブプライム問題を身近に感じられる一冊です。

マネックス・ユニバーシティ 富田

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