HOME > マネーを学ぶ6つの方法 > メールマガジンで学ぶ > 42冊目 2008年、開かれてしまったパンドラの箱
滝田 洋一 (著)『世界金融危機 開いたパンドラ』

マネーを学ぶ6つの方法 メールマガジンで学ぶ

42冊目 2008年、開かれてしまったパンドラの箱
滝田 洋一 (著)『世界金融危機 開いたパンドラ』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
< 2 > エムユーの本棚 42 冊目  「2008年、開かれてしまったパンドラの箱」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇

当メルマガも、ようやく2008年最後の配信です。雨の日も、風邪の日も、編集長ハルちゃんが「今は話しかけないでくださいでネ」オーラを振りまきながら安全確認&安全配信し続けて、ようやくこの日を迎えました。編集長、お疲れ様でございました。そしてお読みいただいている皆様、いつもありがとうございます。

おかげさまで、当社の本棚に並んだ本をご紹介させていただくこのコラムもようやく42冊目となりました。バックナンバーを見てみると・・・・・、あら、本の選択に偏りがありますね。ごめんなさい。来年は、もう少し幅広くご紹介していきたいと思います!

さて、今年最後のご紹介は「金融界を中心に、2008年を振り返る」のに最適の一冊です。只今読了したてほやほやで、まだ少し興奮の余韻が残っています。本に貼ったポストイットの数は27枚に上りました。

この本は12月8日に出版されたばかりで、11月中旬までの世界金融危機の情勢を知ることができるとっておきの1冊です。今年の9月にニューヨークに赴任された日本経済新聞社米州総局編集委員による、まさに目の前で起きた世界金融危機のルポルタージュ。期待と真逆に進む株価や為替に、あまりにもやり切れない気持ちになって途中でニュースを追いかけるのを止めてしまった方でも、これを読めば2008年の金融界で何が起きたのかがわかる!その名も・・・

『世界金融危機 開いたパンドラ』

『世界金融危機 開いたパンドラ』

滝田 洋一 (著)、 日本経済新聞出版社、 893 円(税込)
【ジャンル】 金融・経済の仕組み
【難易度】 ★★★☆☆    (★が多いほど難しい)
【文字量】 ★★☆☆☆    (★が多いほど多い)
【所要時間】 ★★☆☆☆   (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★★☆ (★が多いほどおすすめ)

これまでに、サブプライム問題を発端とする金融危機に関する本は何冊か拝読してきましたが、この本が一番「いつ、何が起きたのか」と、その背景にあった出来事とのつながりについて網羅的に書かれていると感じました。

思えばこの半年ほど、毎日のように幾つもの「大事件」が報じられていました。その度に驚きながらそれぞれの結び付きがすぐには理解できない私は、当社内藤の「投資手帳」に日々の金融・経済ニュースや主要指標などを記録していたのですが、その目的は、この本で達成されてしまいました。少し、悔しいくらいです。しかも、新聞記者さんならではの、関連するデータや過去事例の豊富さといったら。悔しさを通り越して、嬉しく感じます。

本の構成は、序章と終章を含む全7章。序章は、NY赴任早々の筆者の目前で起きたリーマン破綻から今私たちが直面している世界大不況の瀬戸際という現状について。

第一章では、これほどの危機であると多くの人が気づくまでの数ヶ月間に起きた出来事について書かれています。
1973年に当時の石油危機をテーマとして開催された最初のサミットと比べて、形骸化してしまっていた今年の洞爺湖サミット、ゴールドマンの試算によると急激な相関度の高まりを見せていた原油高とドル安、7月15日のSECによる金融空売り規制の対象銘柄に見られる当時のSECの思惑。

第二章では、昨年になってにわかに取りざたされた「サブプライム問題」という爆弾について解かれています。複雑な証券化について、多くの論者が説明をしてくれていますが、滝田氏による例えを引用すると、証券化商品とは、「ミンチ肉」。格付けという品質保証のラベルが、証券化商品というハンバーグには貼ってあった、という表現があるのですが、なんとも上手な例えです。サブプライム問題を巡る出来事の一覧表、サブプライム問題の影響が幾つもの数値に表れていたこと、それでもアメリカや日本で軽視されていた影響の大きさ、複雑な証券化によって実は損失率が上昇してしまうこともあるという計算。

第三章と第四章では、サブプライムからは少し離れて、マネーばかりが先へ進んでしまう「グローバル化」の限界点や、近年の日本の経済改革の現実について市場という側面からみた様子について書かれています。長期的に、次の世界地図において最も重要なプレイヤーとなるだろう中国と、アメリカ、そして産油国について、日本の中にいるとなかなか気付かない視点を与えてくれます。

個人的には、今年の夏にかけての商品市場のバブルのことを「ドットコーン・バブル」と称するというのを知らなかったので、このシャレに少し笑ってしまいました。また、第四章に書かれていた、外需頼みの日本経済の好景気の構造的な問題点は、まさに12月の今、日本のメディアを騒がせている問題の背景の一つなのだと知ることができます。

そして第五章のタイトルは、「2008年秋 大恐慌の足音」。今年の秋以降の、なんとか大恐慌を食い止めようとするアメリカの、世界の動きを生々しい記録です。MMFの保護、背に腹は代えられない、と突如の終焉を迎えた投資銀行、政治に対する最大のロビイストであるダウ平均(市場)の力、金融機関への公的資金注入への裏道など。この本にはもちろん書かれていませんが、先日のアメリカのゼロ金利政策へとつながっていく流れを感じます。

勢いに乗って今週も長々と書いてしまいました。とにかく今年の金融の流れを今年のうちに自分の中に刻みたい、という方は、帰省の道すがらにでも、読まれることをお勧めします。新書です。

末筆ではございますが、最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

皆様どうぞ、よいお年をお迎えください。

マネックス・ユニバーシティ 富田
Amazonでのご検討はこちらから





ページトップへ

株式会社マネックス・ユニバーシティ

東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内19階