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ジョン・K・ガルブレイス (著)『大暴落 1929』

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36冊目 このセリフを耳にしたら、ご注意を
ジョン・K・ガルブレイス (著)『大暴落 1929』

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< 2 > エムユーの本棚 36 冊目  「このセリフを耳にしたら、ご注意を」
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東京は今週あたりから特に冷え込みが厳しくなってきました。ぱらつく雨は、その量は決して多くはないけれども冷たさが身にちくちく刺さるようで、冬はすぐ傍に佇んでいることに気づかされます。そして、あちらこちらにマスクをした方々の姿が目に入ります。皆様も風邪をひかぬよう、予防を万全にしてお過ごしください。

風邪は予防できても、マーケットの暴落は個人がいくらうがい手洗いを徹底しようとも予防や予想は難しいようで、過去に何度か繰り返されていることなのに、マーケットの変動にみんなが振り回されてしまいます。しかしながら、人間は学習する生き物だから過去の経験が色々と活かせるはず。また、過去の出来事の中に今後に向けての学びがあるはず。今週の本は、1955年に初版が出版され、「バブル崩壊、株価暴落のあとに必ず読まれる、恐慌論の名著」・・・

『大暴落 1929』

『大暴落 1929』

ジョン・K・ガルブレイス (著)、 日経BP社、 2,310円(税込)
【ジャンル】 金融・経済の仕組み
【難易度】 ★★★☆☆   (★が多いほど難しい) 
【文字量】 ★★★☆☆   (★が多いほど多い) 
【所要時間】 ★★★☆☆ (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★☆☆ (★が多いほどおすすめ) 

著者のジョン・K・ガルブレイスは、2006年に亡くなられた著名な経済学者。時代に即した新しい概念を発表し、多くのベストセラーを世に送り出しました。
そして今回の本は前述のとおり、1955年に出版され、以来読み続けられている本です。なんと、もう53年も前なのですね。
しかし、この本を読まれた方は口を揃えることでしょう。「まるで今起きていることみたい。」

これまでに何度も繰り返された市場の激しい騰落のなかでも、今回は特別だと言われます。日本のメディアでは10年前の日本になぞらえる方も見られますが、海外メディアから耳にするのはやはり「1929年」。その数年前からどのようなことが起き、繋がって、1929年10月24日を迎えたのか。そしてその後に大恐慌へと移り変わるアメリカで何が起きたのか。その後の世界恐慌や世界大戦につながっていく経緯などには触れず、アメリカの金融、そして政治と経済にフォーカスを絞って、克明に記されています。

全9章の構成で、各章のタイトルは「夢見る投資家」「当局の立場」「ゴールドマン・サックス登場」「夢の終わり」「大暴落」「事態の悪化」「暴落後の日々」「原因と結果」と、時系列に並んでいます。これを読むだけでも、まるで現在進行中の出来事のようですよね。

実際、行き過ぎた不動産投資ブーム、過熱するブームの中で投資対象の価値を測ることよりも値上がりばかりに目を向ける風潮、結果値上がりだけを切り離す金融の仕組み、そろそろ異常だなと思う人が出始めても止まらないムーブメント、ブームを無理やり正当化する理由をすんなり認めてしまうこと、なと、本当に多くの共通点が見られます。

また、この当時の流れの中で信用取引が果たした「役割」、持株会社方式やチェーン店方式の流行、ゴールドマン・サックスの誕生と驚異的な成長といった出来事についても知ることができます。特に今や投資の初心者に最適!と謡われることの多い投資信託についての記述が興味深いですよ。投資信託は当時の金融の進歩を体現する革新的な仕組みとして生まれ、そしてレバレッジを効かせたハイリスクハイリターン商品としてぐんぐんと中心的な存在となり、個人投資家のマネーを巻き込んだ株ブームを煽っていきます。私は、このくだりを読んで、改めてインデックス投資信託という存在の稀有さを噛みしめたのでした。

このように、当時と今とでは似ている箇所もありますが、当然ながら異なる点も多数あります。何しろ90年近く前ですので、どうしても手作業に近くなる証券取引による様々なタイムラグ、アメリカやヨーロッパ、そしてイギリスの国力のバランス、通貨の力、キャッシュ・債権債務・株式のバランスなど。そういった違いや、FRBや連銀、政府高官の発言や政策がどのような影響をもたらしたのか、これは何よりも経済の勉強になります。面白いです。おかげで、今後のニュースを読み解く力が倍増しそう。興味のある方は早いうちに読んで、これから起きることに対する洞察力強化に役立ててください!特に今週末には金融サミットが開かれますからね。楽しみです。

全体を通して私が感服したのは、これだけの「失敗」に対しても怯むことなく、改善策や対処策を矢継ぎ早に考え、実行に移して、そして走り続けるアメリカという国の強さです。アメリカに限ったことでなく、人間そのものの欲望の強さなのかもしれませんが。投機ブームが持つ免疫作用の話、そして最後に書かれている危険な「あの」セリフ・・・・。やはり、読むなら今、です。

マネックス・ユニバーシティ 富田

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