HOME > マネーを学ぶ6つの方法 > メールマガジンで学ぶ > 28冊目 一体何が起きているんだ!!小幡績(著)『すべての経済はバブルに通じる』
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< 2 > エムユーの本棚 28冊目 「一体何が起きているんだ!!」
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この数日で既に耳にタコができてしまった気がするのがリーマン・ブラザーズ経営破綻、AIG救済、事故米流通。どれもこれも、日本列島中から「またか」とため息が聞こえてきそうな話題です。暑い夏のお陰で甘く熟した葡萄を味わいながらも、心はどうも浮き立たない秋の始まりを迎えてしまいました。
日本語にすると「10 年」、短くも長くもない期間を示す A decade という「時」に関する概念があります。A decade あれば後戻りすることのない大変化が世の中に起きる、その萌芽は A new decade のちょっと前から見られる、と言われ、梅田望夫さんや文化・芸術分野の著名人でも気にされている方は多いようです。まさに金融・経済においても 1997 年から 1998 年に大型金融機関の相次ぐ破綻、アジア通貨危機、ロシア財政危機などが起き、そして 2000 年代はインターネットバブルの崩壊と911の悲劇で幕を開けたのです。表面上は穏やかな景気回復、金融工学の進展、新興国経済の存在感増。そして只今 2008 年 9 月、1 年ちょっと先に始まる 「2010 年代」の胎動が始まっているのでしょうか。だとしたら、今起きていることを注視しないと。そう自分に言い聞かせ今週はこの頭脳明晰な方の一冊を、辛くとも目を瞑らずに読みました。その本とは、
『すべての経済はバブルに通じる』
小幡績 (著)、 光文社、 798 円(税込)
【ジャンル】 金融・経済の仕組み
【難易度】 ★★★☆☆ (★が多いほど難しい)
【文字量】 ★★☆☆☆ (★が多いほど多い)
【所要時間】 ★★★☆☆ (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★☆☆ (★が多いほどおすすめ)
手のひらサイズの新書です。普段なら 1 時間もあれば読み終えるのですが、どうしても軽く読み流せない内容が多く、じっくり読んでしまいました。マネックス証券のセミナーでも講師を務めてくださった筆者 小幡績(おばた せき)氏は、「個人投資家として積極的に投資し続ける行動は経済学者」。輝かしいキャリアを経て、現在は慶応大学大学院の准教授です。至って真面目に書かれ
ていると思うのですがなぜだかユーモアを感じてしまうブログもございます。
お金はなぜ殖えるのか、経済成長の持続はいかにして実現できるのか、そして資本主義とは何か、という改めて聞かれるとドッキリしてしまう問いに、「答えはねずみ講」と言い切るところからこの本は始まります。この、一見分かりやすい答えに辿り着くまでの綿密な論理が、一冊かけて展開されていくのです。
第 1 章から第 3 章にかけては、私たちの目の前でリアルタイムに起きている事象がいかにして今に至ったのかについて、証券化の本質を投資資産の「商品化」とリスクの「社会化」であると深く抉り、これまでの「バブル」とは質を異にする「リスクテイクバブル」と称するバブルが発生したと説明しています。著者ならでは論理的展開と現象を捉える視点の独自性が、とてもユニークです。
続く第 4 章から第 6 章までは、2007 年 2 月の「上海発世界同時株安」、2007 年 8 月の「サブプライムショック」、そして 2008 年 3 月の「世界同時暴落スパイラル」で何が起きたのかを執念深いほど刻銘に記録した、まるでルポタージュ。そこに第 1 章から第 3 章で説明された小幡氏のシナリオが当てはめられているので、その真実味を強く感じました。
そして本の後半では「リスクテイクバブル」は偶発的に起きるこれまでの「バブル」と違い、構造的に市場に組み込まれているものであり、そういうことが起きてしまった現状を「キャンサーキャピタリズム(癌化した資本主義)」と分析しています。
このところサブプライム関連の書籍も多く、新聞やテレビでの報道にも多く接する中で、どこか似ているような見解を度々目にします。その中でこの本が面白いなあ!と思うのは、他の様々なメディアでバラバラと言われていることの殆どがその因果関係に含まれていることです。情報として知っていても理解仕切れていなかったたくさんの事柄が、小幡氏のシナリオの中で紡がれていくのです。
私にとってはいくつもの驚きの発見があったこの本。ほんの少し、ご紹介させていただきます。
・「リスクテイクバブル」においては、投資のプロは投資商品のリスクが低く見積もられていることを知っていながら、あえて「似非(エセ)トリプルA証券」を購入せざるを得なかった。 (一体どのような制約があったの?)
・「リスクテイクバブル」に乗ればリスクなしでリターンが得られる仕組みとなっている。(まるで言葉遊びのようですが・・・・どういうこと?)
・「証券化」とはマーケティング技術である。 (どの点で?)
・バブル崩壊後ではなくバブル発生中から、市場参加者はバブルが起きていることを知っていた。(それでも崩壊は止められないのはなぜ?)
・現代資本主義の成立が資本家と経営者が別になる「資本と経営の分離」だとしたら、投資家と運用者の分業は「資本と頭脳の分離」。そして実体(経済)と金融(資本)の主客逆転が起きた。 (その意味するところとは?)
勝手に抱いていた先入観の偏りを、大きく刺激される本です。秋の夜長にピッタリの奥深さがある一冊ですので、「ナニナニ!? どういうこと!?」と少しでも触覚が動いてしまった方、是非ご一読ください。
マネックス・ユニバーシティ 富田
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