HOME > マネーを学ぶ6つの方法 > メールマガジンで学ぶ > 19冊目 極東の地からは遠いけれど、気になります。
糠谷 英輝 (著) 『世界を席巻するイスラム金融』
門倉 貴史 (著) 『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』

マネーを学ぶ6つの方法 メールマガジンで学ぶ

19冊目 極東の地からは遠いけれど、気になります。
糠谷 英輝 (著) 『世界を席巻するイスラム金融』
門倉 貴史 (著) 『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
< 2 > エムユーの本棚 19 冊目 極東の地からは遠いけれど、気になります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇

今週は、テレビを見ても新聞を読んでも電車に乗っていても洞爺湖サミットの話題で持ちきりです。サミットの参加者は「主要国」である G8 (日本、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ、ロシア)と EU 委員長とのことですが、温暖化ガスといい、原油・食料品・資源などの価格上昇といい、もはや 8カ国では解決できないテーマがたんまりこんもり。

そんな「主要国」で未だ余波残るサブプライム問題でも、「主要国」外の国の SWF から欧米金融機関への資本注入が大きく報道されました。今まであまり耳にしたことのない登場人物です。同時に「イスラム金融」という言葉も頻繁に目にするようになってきました。例えば今週も、東京海上日動とイオンクレジットサービスが海外でのイスラム保険事業提携が報道されるなど、日本企業によるイスラム金融への取り組みも始まっているようです。

極東の島国にいる私たちにとっては、イスラムとはまるで、遠いところにあるベールに包まれた神秘的な世界と感じてしまいがちでしたが、どうやら最近、マネーを通じてイスラム世界が近づいているようです。120 兆円といわれるイスラム金融の資産規模は、年平均で 15% ~ 20% 拡大しているとのこと。今すぐのアクションにつながらずとも、低迷が目に付く世界経済の中で高い伸びを見せるイスラム金融を、今のうちに押さえておきたいところです。

いわずもがな、イスラム教といえばキリスト教・仏教と並ぶ 3 大宗教ですから、そう簡単に学習できるものなどないだろうなあ・・・・と本屋さんに向かったところ、やはりこのところイスラム金融の注目度が高まっているようで、入門にピッタリの本 2 冊と出合うことができました。共に甲乙付け難い良書、そして、どちらか1冊だけでは少し物足りないように感じましたので、今週は張り切って 2 冊ご紹介します!その 2 冊とは・・・

『世界を席巻するイスラム金融』 と 『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』 です。

『世界を席巻するイスラム金融』 

糠谷 英輝 (著)、 かんき出版、 1,680 円(税込)
【ジャンル】 イスラム金融
【難易度】 ★★☆☆☆   (★が多いほど難しい) 
【文字量】 ★★☆☆☆   (★が多いほど多い) 
【所要時間】 ★★☆☆☆ (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★★☆ (★が多いほどおすすめ) 

 


『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』 

門倉 貴史 (著)、 幻冬舎、 777 円(税込)
【ジャンル】 イスラム金融
【難易度】 ★★☆☆☆   (★が多いほど難しい) 
【文字量】 ★★☆☆☆   (★が多いほど多い) 
【所要時間】 ★★☆☆☆ (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★★☆ (★が多いほどおすすめ) 

共に、持ち運びが苦にならないサイズと重さで、物理的にもお手軽お気楽。お勧めの読み方は、先に『世界を席巻するイスラム金融』をさらっと、その後に『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』をさらっと読むという順番です。共に読みやすい、こなれた文章なので、併読しても心理的な抵抗がなく、それほど時間はかからないと思います。同じ内容もいくつかあるので、ついさっき知ったことを「それ、知っているよ!そのとおりなのよね・・・」と余裕風を吹かせて読むこともできます。

『世界を席巻するイスラム金融』はより客観的・網羅的で、無駄のないシンプルなテキスト、『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』はよりエンターテイメント要素のある最新トピックの解説書、というようなイメージでしょうか。新聞やネットの記事に目を通してもどうも消化不足だった方でも、この 2 冊を読めば急激に理解が進むと思います。読んだ甲斐があるってぇものです。

例えば。
・イスラム教徒は現在約16億人、世界人口の約4分の1弱だが、人口増加率が高く、2030年頃には世界人口の3分の1に達し、キリスト教徒を抜くと予想されている。
・イスラム金融は、イスラム教徒はもちろん、イスラム教徒でない人も利用できる。
・イスラム金融とはイスラム法「シャリーア」に則った仕組みとされるが、その判断は「シャリーア委員会」と呼ばれる機関で下される。「シャリーア委員会」は国別や宗派別に存在していて、委員の解釈によって結果が異なることもある。法的拘束力もない。国をまたぐ紛争の解決方法も整備されていない。また委員になるための公的資格などはない。
・イスラム金融センターとして今最も中心的存在とされるのはマレーシア。イスラム金融の国際機関が多く設立されているのはバーレーン。その他にもドバイ(UAE)、カタール、サウジアラビア、多数の国・都市が「金融センター」の地位をめぐって競い合っている。
・前述の「シャリーア」によって、我々が当然視している「利息(金利)」はタブーとされている。「利息は不等価交換によって得られる不当利益」と考えられるためだが、その背景はなかなか考えさせられるので、是非ご一読を!
・イスラム金融の発展シナリオとしては、まずは「イスラミックウィンドウ」から、そして次に「イスラム銀行」へ。
・よく目にする「スクーク」「タカフル」はイスラムの金融商品。そのベースとなるスキームは「ムラーバハ」「イジャーラ」「ムダーラバ」「ムシャーラカ」などなど・・・。
・先進国の中では、イギリスがイスラム金融に強い!なんと 80 年代から取り組んでいた。

ああ、もっとお話したいくらい、色々なことを知ることができました。なにぶん、全く知らなかった世界なので、ほぼ全てが新しい発見なのです。

今すぐにイスラム金融が私たちの生活に影響を与えるということはないでしょう。しかし、現在私たちを取り囲む金融・経済の仕組みが、この地球上の唯一絶対の仕組みではないと知ることはとても有意義だと感じました。不当利益とみなされる利息はタブーとし、資産の流動化や積極的な商業活動への参加は奨励するイスラム金融ではバブルが発生しにくい、という『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』 での投げかけは、バブルで踊らされてしまいがちな私たちにとっては気になるテーマです。

上記箇条書きの3点目にも書いたように、イスラム金融はまだまだ未整備なところが散見されます。しかしその分、多様性や発展可能性が高いようにも思えます。『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』 で紹介されている、バングラディッシュ グラミン銀行によるマイクロ・クレジットなどは金融の可能性を広げる一例ではないでしょうか。

マネックス・ユニバーシティ 富田

Amazonでのご検討はこちらからどうぞ。

『世界を席巻するイスラム金融』 

『イスラム金融入門 世界マネーの新潮流』 

<今週のエムユーの本棚>

19thbook_mini.gif





ページトップへ

株式会社マネックス・ユニバーシティ

東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内19階