HOME > マネーを学ぶ6つの方法 > メールマガジンで学ぶ > 17冊目 日本株式市場の最新「歴史書」太田 忠(著) 『株式市場は現在進行形』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
< 2 > エムユーの本棚 17 冊目 日本株式市場の最新「歴史書」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇
2008 年 6 月 25 日の日経平均終値は 13,829.92 円。過去 10 年を振り返ってみると、2005 年 10 月、そして 2001 年前半も同水準だったことが分かります。
2001 年は 2000 年 4 月をピークとするインターネットバブルが崩壊し、株価はまさに降下の最中。9 月の米国同時多発テロ後には 17 年ぶりに 1 万円を割ります。2002 年 5 月には 12,000 円近くまで戻るも、さらにじわじわと下落は続き 2003 年 4 月には 7,608 円を付けます。その後、急激な上昇ののちピークアウトし、そして 2005 年に本格上昇へと向かいます。2006 年も上下を繰り返し、2007 年 7 月に 18,262 円となるも、その後に大きくガンガンガンと下がり・・・・、今の水準に至ります。
こと日経平均水準だけをシンプルにみると「結局元に戻った」ように感じてしまいますが、その間の変動といったらかなりの激しさです。様々なテクノロジーの進歩や、プレーヤーの登場そして退場、変わらぬ人間の思惑。学校科目の「歴史」でなくても、日本の株式市場には学ぶべき歴史があります。
そこで今週は、株式市場の流れを時系列で分析・解説し、相場のさまざまな局面において、どう対処すべきなのかという大局観を養うために有益な書籍をご紹介します。1999 年から 2003 年まで 5 年連続で日経金融新聞のアナリストランキング「中小型株」部門のトップとなった太田忠氏による、
『株式市場は現在進行形』 です。
太田 忠(著)、 日本経済新聞出版社、 1,680 円(税込)
【ジャンル】 株式投資
【難易度】 ★★★☆☆ (★が多いほど難しい)
【文字量】 ★★★☆☆ (★が多いほど多い)
【所要時間】 ★★☆☆☆ (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★★☆ (★が多いほどおすすめ)
太田氏は JPモルガン・アセット・マネジメントの中小型株のポートフォリオマ
ネジャーで、プロファイルによりますと 20 年にわたって中小型株に携わって
いらっしゃるようです。太田氏と面識ある方によると、「彼は本当に中小型株
を愛している」ということです。なるほど。今回の書籍のあちらこちらに、「愛」に裏打ちされた強い思いを感じました。
この書籍は、Nikkei Net 「マネー&マーケット」の「経済羅針盤」2001年5月から2007年9月までのコラムをまとめたものです。ちょうど、今くらいの株価水準を下方に向かっていたころが始まりです。
全48回のコラムは、時系列に沿って、市場の局面ごとに7つの章に分かれています。1 コラムの分量は 4 ページほどで、電車での移動時など「すき間時間」にもぴったり。
・第1章(2001年5月~2001年12月) 人々が熱狂したネットバブルとその崩壊を、比較対照しています。
・第2章(2002年1月~2002年10月) 株価が急落し、さらにじわじわ失速していくなかで揺れ動く企業と市場について書かれています。
・第3章(2002年11月~2003年7月) 相場のどん底であり、陰の極であったこの時期に、雪解けが訪れてきます。マーケットセンチメントが変化する局面です。
・第4章(2003年9月~2004年3月) 最悪期を脱却して、急激に様変わりしていく相場でした。
・第5章(2004年4月~2004年10月) 上昇気分が一転してピークアウトを迎えます。
・第6章(2004年11月~2006年2月) 本格上昇のなか、水面下で多くの問題が積み重なっていきます。
・第7章(2006年3月~2007年7月) 積み重なってきた問題が次々と表面化してきます。この章で書かれている「こういう会社に投資してはいけない」「こういう会社に投資しよう」は具体的で分かりやすく、個別銘柄投資を検討されている方にとっては、本当に有益な情報だと思います!
各章の終わりには、各局面でみられる現象、危険性、その対応法といったエッセンスがまとめられています。前回の当コラムでは行動経済学を取り上げましたが、やはり市場はあまり合理的ではないようで、「過」熱、「過」悲観といった過剰反応は多くの局面で見られるようです。後から振り返って「そうだよね、確かにおかしいと思っていたんだけど。」という事の多い方は、この本を手に、今起きている現象を観察し、今はどの局面かと考えると新たな発見があるかもしれません。また、例えば自分なりの「投資期間」を決めるなど、どんな局面であっても重要なことについても学べます。
そのほか、取引所、金融機関、株式の発行企業、そして投資家といった市場参加者が抱えている様々な問題についても、鋭い指摘が多く見られました。重要視され、投資根拠となる「指標」の隆盛についての解説も興味深かったです。株式や市場に関する仕組みを所与のものとして漫然と受け入れてしまうのではなく、自分なりの問題意識を強くもつ太田氏ならではと感じました。
確固たる自分のスタンスを持つこと。必要な情報を入手して、自分で考えて判断すること。投資でも何でも、本当に重要な基本はシンプルなことなのかもしれません。
マネックス・ユニバーシティ 富田
Amazonでのご検討はこちらからどうぞ。
<今週のエムユーの本棚>
