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バートン・マルキール ほか(著) 『中国株投資の王道 ウォール街から万里の長城へ』

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13冊目 ああ、刺激的なる中国株投資の世界
バートン・マルキール ほか(著) 『中国株投資の王道 ウォール街から万里の長城へ』

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今も余震が続く中国・四川大地震の報道を、目にしない日はありません。止まることのない被害の数々に、お亡くなりになった方のご冥福と、少しでも早く、多くの方に助けの手が届くことを祈るのみです。中国というと、今年の北京オリンピック、2 年後の上海万博をシンボルに、高成長を続ける経済、活気あるマーケットや、その弊害と言われる環境破壊や経済格差拡大や民族問題など、このところ私たちの生活の中でも存在感が強さを増しています。日本の 10 倍もの人口を抱えるこの国は今、政治、経済から生活文化、そして価値観まで激動の時を迎えています。

私自身の個人的な体験としても、旅の途中、成都や深センの街中を歩くだけでえも言われぬパワーに圧倒されたものでした。日本に帰国して洗練された街並に安心を感じながらも、中国の街が持つ熱気を恋しくも思います。

今の中国が持つ抗しがたい魅力は、危険な香りも漂う魅惑的なもの。「今後、高成長を見込める新興国の一つだから」なんて理由を口にして気軽に投資をすると、痛い目に合いそうです。今週は、今一度、中国への投資をじっくり真正面から考えるための最高のパートナーをご紹介します。それは、「あの」バートン・マルキール教授による

『中国株投資の王道 ウォール街から万里の長城へ』です。 

bookshelf_013_mini.jpgバートン・マルキール ほか(著)、 日本経済新聞出版社 2,100 円(税込)
【ジャンル】 中国株式
【難易度】 ★★★★☆   (★が多いほど難しい) 
【文字量】 ★★★☆☆   (★が多いほど多い) 
【所要時間】 ★★★★☆ (★が多いほど時間がかかる)
【おすすめ度】 ★★★★☆ (★が多いほどおすすめ) 


バートン・マルキール教授といえば、株式投資のバイブルとも言われるミリオンセラー『ウォール街のランダム・ウォーカー』を1973 年にこの世に送り出したプリンストン大学の経済学博士であり、バンガード・グループの社外重役としてもご活躍です。

副題の「ウォール街から万里の長城へ: From Wall Street to the Great Wall 」は、原著では本題です。これはただ場所が変わるというだけの話ではありません。世界の金融の最先端が局地的に集うウォール街と、ウォール街どころかアメリカという国の何倍もの歴史を連綿と紡いできた国に聳え立ち続けている万里の長城。その構造から、背負っているものから、そして通用するルールなど何もかもが違います。マルキール教授を含む 4 名による執筆により、この圧倒的な違いが整然と説明されていて、読了後になぜか感動してしまいました。

なお、この本全体を貫く考えとして「中国株投資に対して超・ポジティブ」です。

それでは構成からご説明しましょう。

この本は全 12 章を 3 つに分けた、3 部構成。第 1 部では中国の歴史を経済的視点から整理した上で、「中国のもつリスク」として漠然と不安がられている貧富の差の拡大や汚職のリスクなど8つの代表的なリスクについて、いかに捉えるべきかを述べています。鄧小平という一人の指導者がもたらした劇的な成長物語は、政治の停滞感が漂うこの国で読むと、眩しすぎます。今をときめるドバイのシェイク・モハメッド(ムハンマド・ビン=ラーシド・アール=マクトゥーム)といい、強い指導力をもつリーダーの存在は、国をも変えていくのですね。

第 1 部で基本認識を固めた上で、第 2 部では投資対象として中国がどれほど魅力的なのかを論理的に説明しています。改めて、ウォール街を代表とする「先端金融の常識」と「中国の実態」とのギャップが浮き彫りになるあたり、とても面白いです!中国に対して超・ポジティブなスタンスではありますが、もちろん中国が内包している特殊性や、中国での株式投資における懸念点を読み手に伝えてくれています。一筋縄ではいかない「市場の開放」の歴史や、そのために歪められている「市場の効率性」についてなど、これまで投資対象として欠けていた魅力が今高まってきている背景が述べられています。

そして第 3 部は、その名も「マルキール博士の中国株戦略」。第 2 部で述べられたようなルールで動く中国株の投資戦略が具体的に指南されています。自分のリスク許容度やリスク選好度に即して株式投資の中の中国株組入比率を検討する話や、中国関連への具体的投資手法としてドメスティック戦略、オフショア戦略、そしてなんと一匹釣り戦略まで。生きていく上で必要なお金を確保するための投資、を超えた、なんとも刺激的な投資の世界が垣間見られます。ドキドキしてきちゃいます。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』が一つの、高度に完成された投資戦略ならば、中国株投資は未完成のまま完成し続けている戦略、という気がします。中国がもつ複雑性や神秘性を理解した上で、中国への投資を考えている方にはこの上ない一冊です。

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■ 『中国株投資の王道 ウォール街から万里の長城へ』

■ 『ウォール街のランダム・ウォーカー』

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