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第2回 リーマン・ショック以降の投資の注意点

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< 2 > ◆◆Q&Aコーナー開始◆◆ 公認会計士 足立武志氏による株式投資Q&A
第2回 リーマン・ショック以降の投資の注意点
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Q.リーマン・ショック以降、投資法で注意すべき点はありますか?

A.リーマン・ショック以降の相場急変は、投資家自身、今後の投資法をよく考える機会になったと思います。「何が起きてもおかしくないのが相場」と肝に銘じ、必要な対策をいつでも実行できるように準備しておきましょう。

 2008年秋のリーマン・ショック以降の世界的な株価急落により、「相場は何が起こるか分からない」と、より強く感じるようになりました。まさか、日経平均株価が2003年4月の安値を下回るとは誰もが思っていなかったはずです。予想だにしていなかったことが起こる、これが相場の怖いところです。

 もちろん、突発的な事件・事故などの発生により株価が急落することもあり、こうしたケースは事前に対応することはできません。しかし、今回のリーマン・ショック以降の株価下落局面では、じわじわと下げ続け、最後に急落がおこりました。

したがって、日本株であれば日経平均株価が2008年3月の安値を2008年9月に下回った時点で、「これはおかしいかもしれない」と感じ、株式に投資している資金をキャッシュに換えて様子をみる、という行動をとる事もできたかもしれません。

 また、株価が下落する局面で、早めに損切りを実行していれば、損失をある程度のところでおさえることができたのではないでしょうか。

 1990年にバブルが崩壊した後の日本株は、10年、20年と長期投資すれば報われるものではなくなってしまいました。したがって、長期投資目的で買った株であっても、値下がりした場合は、損切りをすることが必要です。

もしこれを怠ると、株価がますます下がり、含み損を抱えたまま身動きがとれなくなってしまう危険度が増したと思われます。倒産による資産価値ゼロ化の可能性すらあります。

 更にリーマン・ショックを境に「長期・分散投資」の有効性が著しく低下したのではないかと感じています。それは、「今後世界的に経済の高成長が期待できない可能性」「分散効果が機能しなくなっている」という2つの点からです。

 まず、アメリカの過剰消費を原動力とした世界的な高成長および世界的な株高は、今後望めない可能性が大いにあることに注意が必要です。

  日本は、バブル崩壊後低成長が続き、株価も長期間にわたり低迷しています。これと同じことが、今後の世界各国で起こる可能性があるのです。

 2007年までの世界的な好景気は、アメリカの過剰消費によりもたらされたという一面があります。しかし、今回の金融危機の後も、アメリカ国民がこれまでのように過剰消費を繰り返すことは考えられません。これはアメリカだけでなく世界中の経済が伸び悩む要因の1つとなります。ひいては、株価の右肩上がりの上昇も期待できなくなります。

 今までは日本株のリターンの低さを外国株で補うことで長期・分散投資のメリットを享受することができました。でも、今後は日本株だけでなく外国株でさえも、長期保有しても全然資産が殖えない、といった事態が十分に考えられます。

 そして、分散投資の観点から最近の株式市場の動きで気になるのは、「世界中の株価が同じように動いている」ことです。

 そもそも、「分散投資」とは、値動きの異なる複数の資産に分散して投資することで、値動きのブレを抑えつつ安定したリターンを得る方法です。
 しかし、最近はどこの国の株式市場であっても上がるときも下がるときも同じ動きになっています。これでは分散投資の意味がありません。

 実際、2008年の1年間に限ってみると分散投資の効果がほとんどありませんでした。国内外の株式・債券にバランスよく投資しても、1年で30%以上のマイナスになってしまいました。
 日本のバブルのときは日本株だけが大きく上昇しましたし、バブル崩壊後は日本株が低迷する中、外国株が大きく上昇しました。そのため、「分散投資」の根拠である、「値動きが異なるものに投資して、値動きのブレを抑えつつリターンを得る」ことの効果があったわけです。

 2009年に入ってからも、新興国が一部持ち直しているものの、世界中の株価が同じように動く傾向があります。
 値動きが異ならないのであれば、分散投資の効果は著しく低下します。
分散投資は、ある固定の個別銘柄への集中投資をして、かなりの価格変動を受けるリスクは低減されるものの、1年で30%、40%の価格変動が珍しくなくなるかもしれません。

 なお、長期・分散投資での投資対象の一角である債券への投資についても今後は注意が必要です。今は世界的な金利低下により、高い利息は期待できません。その一方で、低金利の局面で債券や債券で運用する投資信託に投資すると、今後金利が上昇した局面では価格が値下がりし、マイナスのリターンをもたらすこともあり得ます。

 金利水準が世界的に最低レベルまで達している現時点で、債券に投資をすることは、リスクが高いことを認識しておきましょう。

 今後は「長期・分散投資」をする場合でも、ただ国内外の株式・債券に資金を分散して長期間保有しているだけでは思うような成果が上がらない可能性があります。世界的な低金利の状況では債券への新規投資は控える、相場急変時には一時的にキャッシュに替えて緊急避難する、安いときに買って高くなったら売る・・・というように、常に相場動向、世界経済などの動きに注意し、適切な行動をとる必要があります。そうしなければ、いくら長期・分散投資をしていても資産が増えるどころか大きく目減りしてしまう恐れもあります。

 多くの投資論、投資術は過去の成功体験や経験則から導かれた手法です。

今の時代、何事も過信することは危険です。過去を学ぶことは大事です。人の話を参考にすることも役立ちます。その上で自ら考え、投資行動を試みることは己の力になります。過去は過去として学んだ上で、将来の世の中の変化に対応できるような新たな思考が求められる、今はそんなときなのではないでしょうか?

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足立 武志(あだち たけし)
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。
足立公認会計士事務所代表、株式会社マーケットチェッカー 取締役。1975年神奈川県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士。会計・税務業務にとどまることなく、執筆、セミナーなどを通じて、個人投資家 の資産運用に真に有益かつ必要な情報提供を行っている。著書に『すぐできる!らくらくネット株入門』(高橋書店)、『はじめての人の決算書入門塾』(かんき出版)がある。パンローリング社トレーダーズショップでBlogを執筆中。
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