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第21回 相場が底入れする可能性

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< 3 > しろやぎ通信 from NY
第21回 相場が底入れする可能性
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今回の世界的な経済不況の元凶は、アメリカの住宅不動産バブルの崩壊だとの指摘が多く聞かれます。しかし、不動産価格はひとえに金融的現象、金融の写し絵であり、金融面で抜本的な手当てがなされない限りは、不動産価格は下げ続けるのではないかと考えています。しかも不動産価格の動向は、金融対策より遅行しますので、その数字を見ていても先読みは出来ないと思います。

では、金融面での抜本的な手当ては何かというと、金融機関の国有化だと思っています。もっと本質的なことをいうと、金融機関が発行する債務の全額を国家が保証してしまうことだと思います。

なぜならば、金融制度の本源的価値である信用創造は、結局のところ金融機関の債務に対する信頼が存立基盤になっているからです。

過去の金融危機を振り返ってみると、政府がこうした対応をした時点で、株式相場が底入れをしてきたことが分かります。

まず、日本の1998年の金融危機です。このときは9月25日に日本長期信用銀行の「特別公的管理」=国営化が与野党で合意され、これを実施するための金融再生法が10月12日に、早期健全化法が10月16日に成立しました。

この間、株式市場のボトムは10月9日(日経平均終値ベース、12879.97)でした。なお、その後1年間のリターンは24%でした。

次に、日本の2003年の金融危機です。こちらは4月22日にあさひ監査法人がりそな銀行に対する共同監査を辞退し、残った新日本監査法人が繰延税金資産の組入れを3年に限ることしたため、同行は大幅な資本不足となりました。結果として同行は5月17日に資本注入の申請をして国有化されました。

この間、株式市場のボトムは4月28日(日経平均終値ベース、7607.88)、その後1年間のリターンは58%でした。

さらに、スウェーデンの金融危機。1990年代初頭の同国の金融システムは大手6行による寡占状態でしたが、不動産バブルの崩壊から、国内第2位の準国営銀行ノルドバンケンと第5位のゴータバンクが大幅な不良債権発生で債務超過に陥りました。政府はこれらの銀行に資本注入等を実施しましたが、それでも株は下げ止まりませんでした。ついに、1992年9月、政府は、スウェーデンの銀行免許を持つ全銀行の債務(永久劣後債を除く。株も対象外。)に対する政府保証を発表しました。

株式市場は10月9日に底を打ち(OMX終値ベース122.70)、その後1年間のリターンは111%でした。

さて、これを現在のアメリカに当てはめてみると、2つのことが必要だと思われます。

1-1)焦点になっているバンク・オブ・アメリカとシティグループの国有化
または、それより優れている策としては、

1-2)アメリカの全銀行の全債務の国家保証

さらに、先般のガイトナー財務長官の声明にもありましたが、アメリカの金融システムには資本市場が深く組み込まれており、個人等への信用供与全体の中で証券化市場経由ものが4~5割を占めています。その部分の手当ても必要であることから、

2)証券化商品のAAAトランシェの部分に国家保証を付けること

も必要だと思われます。

ガイトナー財務長官が先日公表した金融対応策(注1)では、金融機関のストレステストをして、必要な場合に優先転換債の形で資本注入をするという話になっていますが、これを利用して実質的に上記1-1)の対策が打てるかもしれません。

ただ、1-2)がより優れていると考えるのは、ストレステストというのは、当局の匙加減でどうにでもなるのが問題だからです。当局が甘い査定をして「この銀行は大丈夫」と言っても、そうではないかもしれないと市場は思うでしょうし、逆に厳しい査定をしたら、多くが国有化される結果になるでしょう。このように、結果を考えながら行う当局の査定と言うのは、透明性・信頼性に欠けるものになりがちです。

個人的には、1-2)と2)の組み合わせが良いと思っており、これによりおそらく殆ど財政支出がないまま、金融危機は終息するのではないかと考えています。

マーフィーの法則(Anything that can go wrong, will go wrong.「失敗し得るものは、必ず失敗する」)はここにも当てはまり、上記のような対策が出てくるまでは、株は上がっていかないのではないかと思っています。逆にこれらが出てきたら、買いのシグナルが点灯したと考えても良いかもしれません。

こうした状況下、今週に入りフィナンシャル・タイムズ紙のインタビューに答えて、グリーンスパン前FRB議長が、「いくつかの銀行を一時的に国有化することが、早急かつ秩序だったリストラクチャリングを実施するには必要かもしれない」「国有化した銀行の優先債務を毀損しないように注意しなければならない」といった発言をしたのが注目されました。(注2)

さらに、共和党の議員の中で国有化を許容する向きが見られ始めているとの報道もありました。(注3)

こうした政策がなかなか実行に移されないのは、行政当局が究極の解決策であると理解をしていても、選挙民のその時々の空気を読んだ議会が反対するからです。その意味で、「国有化アレルギー」の非常に強いアメリカにおいて、野党・共和党に国有化への賛意を示す議員が現れてきたのは要注目です。

この動向を丁寧にフォローしていくことが、相場の転換点を探るうえでの最大の手掛かりになると思っています。

(注1)http://www.financialstability.gov/docs/fact-sheet.pdf
(注2)http://www.ft.com/cms/s/0/e310cbf6-fd4e-11dd-a103-000077b07658.html
(注3)http://www.ft.com/cms/s/0/2ad3b750-fd27-11dd-a103-000077b07658.html





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