HOME > マネーを学ぶ6つの方法 > メールマガジンで学ぶ > 第5回 ファイナンシャルプランナー 伊藤宏一さん
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<3> リレーエッセー 「お金と教育」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇
今回のリレーエッセーは、千葉商科大学大学院教授/CFPの
伊藤宏一さんにご執筆いただきました。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
子ども向けパーソナル・ファイナンス教育のあり方
この数年間子ども向けの金融経済教育が盛んに行われている。
ところが、残念ながらその多くは「お金から始まってお金に終わる教育」に
終始している感が強い。お金は人間の生活の手段なのだから、お金の教育は
「人間に始まってお金にいき、最後に人間に戻る教育」であることが必要で
はないだろうか。
私は、早稲田大学日本橋キャンパスで2004年から行われているキッズ・マー
ケット・キャンプで初回からずっと子どもたちにお金の授業をしている。小
学校5・6年生と中学1年生が6人ずつ6グループになって授業を受ける。また日
銀や貨幣博物館などの見学・企業トップとのランチなども行っている。
この授業のプログラムは、もともとは米国メリルリンチ証券と全米起業家協
会が作った子ども向けテキストが原型となっている。私も参加して、その中
からいくつかのテーマを選び、また新たに必要なテーマを補充して現在のプ
ログラムができあがった。授業の1と2は「目標を立てる」「ライフプラン
を作る」。子どもたちが自分の将来の目標を立て、それを実際の計画つまり
ライフプランに具体化することから、お金の授業が始まることが重要だ。
それから3「お金を貯める」4「お金を借りる」。事前にお小遣い帳をつけて
もらってきて、そこからお小遣いの予算管理と貯蓄を考えていく。お小遣い
帳の収入にはお小遣いだけでなく「お駄賃」つまり働いて収入を得ることも
含まれる。出て行くお金は三つに分ける。第一は「将来使うためにとってお
くお金」つまり貯蓄、第二は「今すぐ使うお金」、そして第三は「人のため
のお金」でこれには家族の誕生日プレゼントや寄付などを入れる。
5「リスクとつきあう」6「リスクとリターンを考える」では保険も含めてリ
スクとリターンの考え方を教える。そして7「投資を考える」8「投資をして
みよう」で投資に取り組む。まず投資の広い概念を教える。投資とは「時間
・エネルギー・お金を使って、リスクをとって何らかのリターンを得ること」
。そうすると、好きな子に「君が好きだ」と言うことや「大学受験」も、広い意
味で投資的行動と言える。それから狭い意味の投資を企業の事業活動から理
解してもらう。
狭い意味の投資とは「いい企業を支援すること」と定義し、子どもたちに
「いい企業ってどんな企業だろう」と問いかける。すると、「商品がいい」
「経営者がいい」「ウソをつかない」といった答えが返ってくる。「それじゃ
あ、そういう企業の株価をみてみよう」ということでインターネットで株価
チャートを見る。但し1日や1ヵ月ではなくて5年から10年のチャートだ。株価
は日々変動するが、長い眼で見ると株価は企業価値に収斂していく、そして
企業価値の内容については子どもたちの答えが重要な要素になっている。こ
こから分散投資についても教えていく。
そして最後は9「将来の仕事を考える」。どんなことが好きか、どんな適性が
あるか、という視点から職業選択を考え、収入を得ることを考えてもらう。
つまりキャリアでお金の教育を締めくくる。そして仕事で成功するためには、
「熱意」「誠実」「公正」といったモラルが必要なことも理解してもらう。
私はこうしたプログラムが、「人間から始まってお金にいき、最後に人間に
戻る教育」の一つの方策だと思っている。パーソナル・ファイナンスという
分野の教育を子どもに行うためには、こうした考え方に大きく舵をきること
が求められているのではないだろうか。
伊藤 宏一 千葉商科大学大学院教授/CFP
千葉商科大学大学院でパーソナル・ファナンスを教える一方、小学校
から大学までの学校でのパーソナル・ファイナンス教育推進に尽力。
テレビ・ラジオ・新聞など各種メディアでも活躍。
著書・論文に、学校教科書として初めて「パーソナル・ファイナンス」
「FP」
「投資」が記述された『家庭総合』(教育図書 平成19年度高校用教科書)
ほか、『ライフプランニングー理論と実例』(セールス手帖社)、『金融商品
なんでも百科』(平成18年度版 監修 金融広報中央委員会)、「投資教育の
あり方について」(「消費者教育研究」2006年3月号) 「パーソナル・ファイ
ナンス教育のスタンダード」上・下(日本FP協会「FPジャーナル」2003年4月
・5月号)などがある。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
次回はファイナンシャルプランナーの木村佳子さんにご登場いただきます。
★★コラムを読み逃したくない方は、是非、こちらからご登録ください★★