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< 4 > 「石田 和靖のドバイ・中東湾岸レポート」
第 17 回「アラビアのバフェット、アルワリード王子のキングダムタワー」
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さて、今回は気分を少し変えてみて、場所をサウジアラビアに移します。
先月(2008年8月21日)、「サウジアラビア株式市場での外国人取引を間接的に認める。」という衝撃的なニュースが報道されました。
ところで、サウジアラビアという国をみなさんご存知でしょうか?
サウジアラビアは、アラビア半島の大部分を占める国で、南はアフリカ大陸北はロシア・東欧、東はイラン・インド・パキスタンなどの西アジア諸国。
これら新興国の国々に囲まれた、その中心に位置しています。
ドバイの人々に言わせると、「SAUDI is The Sleeping Giant(サウジは眠れる巨人)」と言います。
何が巨人か?というところを10個のポイントでご紹介します。
【1】GCC域内で最大の人口(2700万人)
【2】GCC域内で最大の国土面積(日本の5.6倍)
【3】格付けの高い国家財政
【4】若年層の多い人口ピラミッド (→かたや失業問題も社会問題)
【5】原油埋蔵量は世界ナンバーワン、天然ガスも豊富
【6】海水の淡水化供給量は世界ナンバーワン
※GCCとは、湾岸協力会議加盟国のことで、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの6カ国です
【6】は意外と知られていませんが、「サウジは水資源が豊富」です。サウジアラビアは、「油で水を得た」というその言葉があらわす通り、石油を売って得た資金で、国内のあちこちに給水プラントを設置して、海水を汲み上げて淡水化して、生活・工業用水を供給しています。
で、このように意外にもサウジには綺麗な水が豊富にあるので、
【7】灌漑農業が発達しており食料自給国となった
【8】小麦は輸出国
など、食料の自給率が高いというのも意外な特徴です。さらに、
【9】アラビア半島の中心に位置し、世界的な貿易拠点となりえる
【10】よって中東のデトロイトを目指すという政府戦略
とこのようにドバイの人に「Giant」と言わせるだけの要素があるのです。
そして、サウジには、メッカとメディナというイスラム二大聖地があります。そのためサウジは、イスラム諸国のリーダーでなければいけません。
なので、イスラム諸国の中でも最も戒律が厳しく、これまで外資に対して様々な規制を設けてきました。だから眠っていたのです。
その「眠れる巨人、サウジアラビア」がいま眠りから覚めつつあります。そして私は、その「眠れる巨人」を自分の目で確かめるために、2007年10月に、サウジアラビアの首都リヤドを訪問しました。
リヤド市内で一番高く聳え立つ、かっこいい建物があります。これがいま、世界のマネーに大きな影響力を及ぼすと言われている、
アルワリード王子率いる「キングダム・ホールディングス」の自社ビル、「キングダムタワー」です。
総工費17億サウジリヤル(約7370億円)かけて、2002年に完成したキングダムタワーは、店舗、オフィス、ホテルなどの複合ビルです。
リヤド中心部に聳え立ち、ここの展望台(右の写真のブリッジ部分)へ上るとリヤドの街全体が見渡せるほど、大変素晴らしい眺めです。
高さは296メートルあり、横浜のランドマークタワーとほぼ同じ高さ。周囲に高い建物があまり無いので、とにかく視界が広がります。リヤドには山や谷、川などもないので、なおさらです。
このビルに拠点を構える、キングダム・ホールディングスは、2007年、サウジアラビア証券取引所(通称TADAWL)に上場しました。
上場の規模は8400億円と、アラブ圏では過去最大のIPO調達額となり、大変大きな旋風を巻き起こしました。
同社の会長で筆頭株主がアルワリード・ビン・タラール氏なのですが、彼はForbes2005 The World's Billionaires(世界の億万長者)で第5位。
第1位 ビル・ゲイツ(米国)/ マイクロソフト
第2位 ウォーレン・バフェット(米国)/投資家
第3位 ラクシュミ・ミッタル(インド) /鉄鋼会社
第4位 カルロス・スリム(メキシコ) /電話会社
第5位 アルワリード・ビン・タラル(サウジアラビア) / 投資家
(出所:Forbes2005 The World's Billionaires)
また、彼が率いるキングダム・ホールディングスは、シティバンク、フォーシーズンズホテル、モトローラ、タイムワーナー、P&Gなどの、世界中の名だたる大企業の大株主でもあります。
同社のホームページを見ると、出資先企業のロゴマークがずらりと並んでいますが、その名だたる企業群には圧倒されてしまいます。
これまでは、
「欧米の企業が新興国企業を支援する」という力関係でした。
しかし最近は、「新興国企業が欧米の企業を支援する」という構図に変わりつつあります。
その構図をまざまざと見せ付けられる企業、世界を傘下に持つ企業が、このキングダム・ホールディングスです。
キングダム・ホールディングスだけではありません。
アブダビ投資庁(ADIA)、ドバイインターナショナルキャピタル(DIC)、クウェート投資庁(KIA)、
いま、オイルマネーで潤う湾岸地域の投資会社や政府系ファンドが、先進国の企業を支援するという構図になってきています。
「シティバンク」はアメリカの銀行かと思いきや、実はアラブの銀行。大株主として、サウジアラビアのキングダム・ホールディングスが入り、転換社債でアブダビ投資庁(ADIA)の資金が多額に入りました。
前述の通り、サウジアラビアはまだ眠りから覚めたばかりです。
このような「アラブ圏の企業が先進国の企業を支援する」動きは、今後ますます加速していくでしょう。
次回は、スーダンの都市開発マスタープラン「アルモグラン(ALMOGRAN)」をご案内します。
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石田 和靖: ザ・スリービー代表取締役
年に十数回、香港・タイ・UAEなど各国を訪問し、香港、タイ、ドバイ、サウジ
アラビアの証券会社にも太いパイプを持つ。
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